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脳卒中治療ガイドライン2009

よみたいなーなんて書いた数日後に、
さる大御所から直々に頂いてしまいました!!
「脳卒中治療ガイドライン2009」と
「喘息予防・管理ガイドライン2009」。
感激です。ブログやってて良かったと初めて思いました。
脳卒中の方は一部だけwebで見つけましたが、
それにしても紙媒体には紙媒体の良さがありますね。

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脳卒中治療ガイドライン2009_b0137188_0335118.jpg
さて、脳卒中治療ガイドライン2009ですが、
主な変更点はいろいろなところ
Dr.Tsuyoshi M吉里先生
日経メディカル
ミクスなど)
で述べられているので割愛。



ふと傍らの日経メディカル1月号に目をやると
「クロピドグレル!!」「グレードA!!」
「クロピドグレルはガイドライン2009でグレードAでぇぇっす!!」
的な広告がこれでもかとバーンとでているわけです。

‥‥ええ、素晴らしいことだと思います。ええ、ええ。
‥‥当然、より普及していくべき薬だと思います。ええ、ええ。
‥‥でも、手放しで喜べないんだよなあ‥‥だって麻酔科医なんだもん。

同じく広告でバーンと出ているシムビコートが、かわいく思えました。
こっちは、手放しで喜んでます。

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これだけじゃナンなので、
このガイドラインに引用されている文献の一つを紹介。
長くなるので読み飛ばして下さい。

A randomized controlled trial of hydrocortisone against hyponatremia in patients with aneurysmal subarachnoid hemorrhage. (Stroke 2007)
SAH後の中枢性塩類喪失症候群(CSWS)の予防に、ヒドロコルチゾン1200mg/日×10日間(以後テーパリング)が有用だった。しかしそれによっても血管れん縮は減少せず、臨床的な予後改善効果は示されなかった、とするRCT。

SAH後の中枢性塩類喪失症候群(CSWS)は低Na血症と脱水を生じ、血管れん縮の原因となることが危惧される。この報告はミネラルコルチコイド作用のあるヒドロコルチゾンによって、SAH後の低Na血症が予防できることを示したRCT。SAH患者(Hunt and Kosnik Ⅱ~Ⅳ)の71例が対象。中枢性塩類喪失症候群の予防目的にヒドロコルチゾン群では1200mg/日(300mg×6時間毎)静注をday 0~10 (その後テーパリングしてday 14まで)、対照群では生食を使用した。両群で血清Na濃度は140mmol/l以上、CVPは8~12cmH2Oを目標として管理した。結果、ヒドロコルチゾン群では尿中のNa、尿量ともに減少し、血清Na濃度は高く保たれた。しかし血管れん縮はヒドロコルチゾン群で5/35例、対照群で9/36例と予後に差は生じなかった。高血糖、低K血症、低蛋白血症はヒドロコルチゾン群で有意に多かった(p<0.001)。手術や永続的な後遺障害を生じた症例はなかった。用量の検討や副作用・予後の調査のために、今後より大規模な調査が望まれるとしている。

この報告を引用して、脳卒中ガイドライン2009では「最近ではくも膜下出血後の低ナトリウム血症に対して鉱質コルチコイド投与が有効との報告がある(Ⅰb)」という記載があり、このエビデンスをもとにSAH周術期管理には「特に低ナトリウム血症には注意する(グレードB)」という勧告となっています。

個人的な感想としては、ヒドロコルチゾン1200mg?え?そんなに?予後改善効果は立証できていないし、ちょっと手は出しがたいなあ、と。
現場ではフロリネフなんかが使われていると聞きました。

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‥‥え?脳卒中を診てるかって?
ええ、ここ5年間で‥‥手術2例‥‥かな?
なんかいろいろすみません(涙)
by fabius_a | 2010-01-14 01:23 | わたし