小児の気管チューブは,カフ付き? カフ無し?
2011年 07月 17日小児人工呼吸管理(S先生)のお話より,ご紹介しやすい話題を1つだけ.
小児の気管チューブはカフ付きを用いるべきか,カフ無しを用いるべきか.
まとめると,
小児の気管チューブについては
近年では「カフ付きがけっこういい」という
流れになってきているものの,
1)日本では「小児では原則カフ付き推奨」とするには時期尚早
2)ただしALI/ARDSのように高い気道内圧を要する症例では
カフ付きが容認されるだろう
というお話でした.
近年ではカフ付きを良しとするデータ
(Weiss M: Br J Anaesth 103: 867-, 2009)も出てきてはいます.
このWeissらの報告では,
「小児の気管挿管にカフ無しチューブを用いてもカフ付チューブを用いても
抜管後の喘鳴や術後の再挿管率に差はなく,
また挿管後のチューブ交換の頻度はカフ付チューブで低かった.
小児でも気管挿管にはカフ付きチューブを用いるべきだろう.
ただし長時間の挿管(集中治療領域)では再検討を要する」となっています.
しかし日本で使える現行のカフ付きチューブ(PVC製)は,
カフの長径が長すぎて声門にカフがかかってしまうという欠点があるそうです
(それ以外にもチューブが分厚くて内径が細くなってしまう,なども).
それに対してこの報告で用いられているのは
「マイクロカフチューブ(ポリウレタン製)」というもので,
これはカフの長径が短く,声門にカフがかからないようになっているものだそうです.
上が日本で現行のPVC製チューブ
下が素敵なマイクロカフチューブ.
(画像はわたしがさっき書いたイメージであり ←・・・変な日本語
講義で用いられたプレゼンテーションとは大きく異なります)
そのため現時点の日本では
「小児でも原則としてカフ付きが推奨される」とするには時期尚早だろう.
ただしALI/ARDSのような高い気道内圧を要する症例では容認されると考えている」,
とまとめてくださいました.
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フロアからご紹介している方がいらっしゃいましたが
Dalalらの報告(Anesth Analg 108: 1475, 2009)によれば
小児の上気道で一番狭いのは声門部で,
従来いわれていたように声門下が一番狭いわけではなかった,となっています.
そこからも最近の流れは「小児でもカフ付きチューブ」なのかな?
と思っていましたが,
日本では残念ながらいいチューブが使えないということが判明.
はやくマイクロカフチューブが使えるようになるといいなあと思います.
そして画像が余りにやっつけ仕事でいろいろ台無しな件.
by fabius_a
| 2011-07-17 00:19
| なんか読んでみた