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この夏、またひとつ年を取りましたが。

臨床研究とか教育とかはとても大事で
崇高な使命を負ったものだと知ってはいますが、
やっぱりそういうものは正直なところ苦手です。

「プロトコールが決まってるので、
フェンタは導入時の1Aだけにして
それ以外は使わないでください」
<え、それっぽっちじゃ覚めたとき痛いんじゃ
とか、
「つぎ、挿管実習症例なのでお願いします」
<え、いつもならラリマでやってるんですが
とか、
「データとりたいので麻酔法は〇〇でお願いします」
<え、〇〇だと××(ry
とか。

先人たちのそういった苦労の積み重ねがあるから
今日のわたしは安全な仕事ができたのだと知っているし、
先人たちの積み重ねの上に
あぐらをかいて座っているだけではだめだとも思うけど。
でもわたしは目の前のこの人のためだけの麻酔をしたいので
この人にあわせたデバイスで気道を維持して
この人の合併症に合わせた鎮静薬を選んで
この人の痛みにぴったりあわせたフェンタを盛りたい、という気持ちに
折り合いをつけることは、けっこう難しいものですね。

周りの緒先生方はみんなこんな葛藤を抱えながらも
平静にこなしているんだろうなと、尊敬しつつ
自分は斜め下の床をじっと見つめていたり。
(歳ばっかりとっちゃって恥ずかしいので、
 こんな葛藤はここでだけこぼすことにして)

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たとえば誕生日に誰かにもらったプレゼント。
自分のために選んでくれたのだと思うと
それだけでとても幸せな気持ちになれるように。

わたしがその人のためにその麻酔を組み立てたことが
その人をちょっとだけ幸せな気持ちにすることもあるんじゃないかなあとか、
思ったり思わなかったり。
by fabius_a | 2011-08-10 00:17 | かんじゃさん